認知症対策ドアロックの種類と選び方
認知症の家族のひとり歩きを防ぐため、ドアロックの設置を検討し始めた時、その種類の多さに驚くかもしれません。それぞれの製品には特徴があり、ご家庭の状況やご本人の状態に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。まず、最も手軽に導入できるのが、工事不要で取り付けられる簡易的な補助錠です。これには、ドアの上部など、ご本人の手が届きにくい位置に取り付けるチェーンロックや、ドア枠に挟み込んで固定するタイプの鍵などがあります。工具も不要な製品が多く、賃貸住宅で壁やドアに傷を付けられない場合にも有効です。また、室内側の鍵のつまみ(サムターン)を覆ってしまうカバーも、手軽で効果的な対策の一つです。ただし、これらの簡易的な方法は、ご本人の知恵や力で突破されてしまう可能性も残ります。より確実な安全性を求めるのであれば、工事を伴う本格的な補助錠の設置が選択肢となります。この場合、必ず検討したいのが、室内側からも室外側からも鍵で開け閉めできるタイプです。これにより、万が一の火災や急病の際に、外から救助者が入室できなくなるという事態を防げます。また、鍵の種類も、ご本人が簡単に操作できないような複雑なものを選ぶ必要があります。例えば、指でつまむだけでなく、ボタンを押しながら回すといった二段階の操作が必要なものや、防犯性の高いディンプルキーなどが考えられます。選ぶ際の最も重要なポイントは、ご本人の身体能力や認知機能を正しく見極めることです。そして、どのような製品を選ぶにしても、家族内での十分な話し合いと合意形成が不可欠です。安全確保という目的を共有し、みんなが納得できる方法を見つけ出すことが、後悔しないドアロック選びの第一歩となります。