先月、自宅の玄関ドアの鍵が回りにくくなり、業者さんに修理を依頼した時のことです。電話口で状況を説明しようとしたのですが、いざとなると自分がいかに鍵のパーツの名前を知らないかを痛感させられました。私はただ、ドアの外側の鍵を刺すところがガタついていて、中から回すつまみも重いんです、と伝えるのが精一杯でした。業者さんからは、シリンダーの緩みですか、それともサムターンの不具合ですか、と専門用語で返されてしまい、一瞬言葉に詰まってしまいました。結局、現場に来てもらうまでは正確な状況が伝わらず、もどかしい思いをすることになりました。 実際に作業が始まると、業者さんは丁寧に各部の名称を教えてくれました。私がつまみと呼んでいた室内の回転パーツはサムターンという名前であり、外側の鍵穴がある円筒状のユニットがシリンダーだと教わりました。さらに、ドアの隙間から見えている金属の板はフロントプレートという名称だそうです。名称が分かると、今どこのネジが緩んでいるのか、どの部品に油を差すべきなのかという説明が、驚くほどスムーズに頭に入ってくるようになりました。これまでは単なる鉄の塊だと思っていたドアの鍵が、名前を持つ個別の部品が組み合わさった精密な機械のように見えてきたのは新鮮な発見でした。 この経験から学んだのは、専門家と対話するための共通言語を持つことの大切さです。もし私が最初からシリンダーとデッドボルトの調子が悪いんです、と伝えることができていれば、電話の時点でもっと具体的なアドバイスをもらえたかもしれません。修理が終わった後、私は自分でも鍵の構造を少し調べてみることにしました。合鍵の持ち手はボウ、ギザギザはノッチ。そんな些細な名前を覚えるだけで、次に何かトラブルが起きた時にはもっと冷静に対処できる自信がつきました。鍵の名称を知ることは、単なる知識の習得ではなく、自分の暮らしを守るための自衛手段の一つなのだと、あの時の困惑した経験が教えてくれました。
鍵の名称を知らずに修理で困った私の体験談